小噺帖

極小一次創作。よそで作った三題噺や都々逸の一時的集積所。
極小一次創作。よそで作った三題噺や都々逸の一時的集積所。
眠る/髪飾り/夢

眠る/髪飾り/夢

明け方、横の妻はまどろんでいる。枕に波打つ髪の合間に彼女の夢が覗いていた。夢の中の妻は職人で、細かなモザイクタイルを一心に並べている。その模様を見たく、そっと髪を除けた。夢の妻が顔を上げ、ばちりと目が合った途端その姿は霧散し、妻が目覚めた。朝食に出た新しい皿はあのモザイク模様だ。
安心/菊/不安定

安心/菊/不安定

大嵐が去ってみると土地はすっかり駄目になっていた。幸い残った種や苗をかき集め、無事な近所に別れを告げてその地を去った。全財産はリュック一つ分でしかなく、空は抜けるように青い。かねて聞いていた原野は眼前遥かな花畑だ。無くした訳ではない、移ったに過ぎない。地面にぐっと苗の根を埋めた。