黄/餌付け/八重歯
私ねえ食べ物で遊んでいいと思うんですと店主。ちゃーんと全部おいしく食べるならね。食べ物「と」遊ぶってのが正しいかな。言いながら店主は巨大クッキーを余った菓子で飾り始める。カラーチョコ、ケーキ生地、綿飴にゼリーに果物。多様なそれらは色のみで分けられ、雑多で美しいモザイクの虹となる。
黄/ピアス穴/憂鬱
そのためにはまず調和と落ち着き大事、同意ですね、それでこそこっちのハジけ甲斐もあるってモンで。店主の言葉に、違いないなと老王が出してきたのはクチナシの黄も艶やかな大粒栗きんとん。さてどうするね、ニヤリと問われた店主もニヤリ、綺麗に片付いた作業台へ老王含め全員を招く。さあお祭りだ。
黄/カッター/災い転じて
藍の縞模様の大皿へ店主、栗きんとんの粒を点々。五線譜を形どるそれへ芋餡を添えてLet’s JAM。警官もとい栽培マン、栗楽譜に和して生チョコを点々。その譜面を鉄琴もとい七色のソーダグラス琴で奏でる女子高生、ソフト飴製トロンボーンのパティシエ。合わせてスプレー男がポップコーンを盛大に弾く。
赤/落し物/はじめて
かくて出現した「動的菓子」に店主と栽培マンが缶入りナッツを振って砕くナッツマラカス、老王が茶筅の音も細やかに加わり、ここに成立した大々的なセッションを経て今夜完成した全ての菓子を茶とともに全員が楽しんだ。最終結果として契約が結び直され、老王はパティシエの新店舗のパトロンとなった。
赤/会いたい/サヨナラダケガ
改修した公園内の移築古民家は腕利きパティシエの菓子でくつろげると評判で、隣室の畳に寝転んで映画を見ながら食べてもいい。園内植物園の鬱蒼とした熱帯林の中の青いタコ滑り台では、森で採れた実を菓子に加工できる。時々、そこから出向いた屋台が近所の巨大複合施設で菓子セッションを催している。
(了)