バイク/独り言/シャングリラ 近所の三文文士が締切前の大不調なので、戯れに居眠り中の奴の眼鏡に原稿用紙の升目を書いてやった。目覚めた奴は慌てて眼鏡をかけ漫画のように周囲を見回したが、案に相違して猛然と原稿を埋め始めた。それ以来、升眼鏡は奴の御愛用となったが、奴の口から出るのは森羅万象の乗り移った語りばかりだ。