ある村に、みんなから馬鹿にされる男がいた。動きや言葉がすこしゆっくりしていて、みんなは寄るとさわると彼の陰口をささやいた。
だが優しい人もいて、隣のおかみさんはこっそり飴をくれたし、向こうの若者は人目のない時に刈り入れを手伝った。村外れのじいさんはもう亡くなった彼の両親の話をいつもしてくれた。庄屋の家の娘は馬小屋を掃除させては駄賃を多めに握らせた。
ある時、彼はその人たちに藁と花を編んで手製の胸飾りを作った。ゆっくり作ったので、きれいな飾りがいくつもできた。それを彼は一日かけてゆっくり配った。
次の日から、彼への陰口はぴたりと止んだ。村人は一人残らず、その飾りを胸に付けていたのだった。