絵 スケッチブックは海の絵ばかりだった。船であるいは車でスケッチブックはあちこちの海へ運ばれ、そこに新しい人が新しい海を描き足した。ページごとに水の色も空の色もさまざまで、見た人は自分の知る海を必ずひとつは見つけ出せた。スケッチブックの出所は定かでないが、数十年前に廃番になったことだけは明らかだ。