収入源の薬物が次々違法化、弱小暴力団は商店街のみかじめ料に目をつけた。先兵の若衆は手芸店の美人店主に参って二階の刺繍教室に入会、先輩生徒たる中年刑事との二人教室となる。学習力の若衆と練達の刑事が死力を尽くして技を競った作品展で暴力団と警察の銃撃戦が勃発、二人は教室死守に共闘する。
強盗集団が旅客機を乗っ取るも宗教原理主義テロリストが反撃、抗争勃発。乗り合わせた大国特殊部隊員は共倒れを目論むも露見、手を結んだ二つの団体を敵に回す。狂乱の機内を最後に制したのは座席で息を潜めていた少数民族の独立運動家だ。がパイロットに化けた独裁国工作員により、独裁国へ急ぐ機体。
狐なので人間の大戦は話に聞く程度だ。その時分少年兵だった良人は異国へ引っ張られ、能力者だけの秘密部隊に置かれた。始め前線で盾に使われたが、護れる範囲に限度があった。逸らした弾が別の仲間に当たってね、その人らの断末魔が次々押し寄せてくるんだ。彼のそんな記憶に狐は決して深入りしない。
狐なので総大将には逆らえない。十里四方の狐という狐が集う中で、人の姿の総大将は自分を無造作に掴み上げ哄笑した。相手の心を読み、心を読まれたのを悟り、仰天した。彼こそ良人の姪の許婚なのだ。先の戦で良人をぼろぼろに使い潰した上官がこの男だと、今も良人を苛む悪夢を読んで狐は識っている。
数億年前の地層から眠りが発掘された。土と混ざって陶器に焼かれたそれは牢獄に支給され、それで食事した囚人達は数億年分熟成された眠りを毎夜楽しむ様子で、それきり刃向かう者は出ない。次いで軍にも支給されたが、兵士達が明らかに戦を嫌がるようになったため、打開策として敵国に大量輸出された。
熊と狐と猫は友達が欲しく、倒木が動いて松の木坊やとなった時は喜んだが、すぐ悲しんだ。彼を熊は自分より強いと言い、狐は賢いと言い、猫は優しいと泣いた。坊やは自分が火に弱く頭が固く肌が粗いと言い、雷に撃たれて燃えた。悲しんだ三人が消炭で坊やの絵を描くと坊やは甦り、今度こそ皆で遊んだ。
人間が近縁種たる犬を愛でるのと同様、ゾウリムシはミドリムシをペットにする。水の澄んだ場所へ光合成に連れて行き、長い鞭毛を手入れしてやりと睦まじい様は単細胞と侮れない。そんな最愛の伴侶に天敵ができた。人類である。ミドリムシを殖やしては喰い倒すその暴挙に、水源という水源を握る彼らがいつまで耐えるかは時間の問題だ。