愛しむ/お菓子/醜悪 | 小噺帖

小噺帖

極小一次創作。よそで作った三題噺や都々逸の一時的集積所。
極小一次創作。よそで作った三題噺や都々逸の一時的集積所。
愛しむ/お菓子/醜悪

愛しむ/お菓子/醜悪

山奥の叔父は私の牡丹餅に相好を崩し、案の定重箱を狐娘に預けた。彼女はぺこりと一礼して下がり、程なく奥から三匹程が重箱をあさる音。弟妹狐だ、迂闊にも忘れていた。毒餅などやめて本当に良かった。総身に冷や汗で顔を上げると叔父と目が合った。途端、何かが私の中で切れ、どっと涙が堰を切った。
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