昔々、たいそうな神通力を持った猿がいた。自分にはお釈迦様だって敵うまいとうぬぼれたところ、お釈迦様はそれならここから出てみるがいいとおっしゃり、ご自分の掌を差し出された。掌はたかだか20センチに満たず、猿はそんな事は朝飯前とばかりに雲を踏んで飛び立った、それこそが大いなるミスディレクションで、20センチにたどり着くためには10センチにたどり着かねばならず、そのためには5センチにたどり着かねばならず、そのためには1センチにたどり着かねばならず、そのためには1ミリにたどり着かねばならず、そのためには1マイクロメートルにたどり着かねばならず、そのためには1ナノメートルにたどり着かねばならず、猿はいまだ掌の中にいる。