小噺帖

極小一次創作。よそで作った三題噺や都々逸の一時的集積所。
極小一次創作。よそで作った三題噺や都々逸の一時的集積所。
鏡

 鏡の中には鏡の世界があるわけだが、現実側から覗いた鏡の世界の奥行きは、鏡の置かれている位置が起点となる。そのため、鏡の位置が変われば鏡の世界と現実の世界との重なり方は異なってくる。つまり、鏡と現実との境目=鏡面=この世に存在しうる平面の数nだけ、鏡の異世界が存在しうるわけだ。
 ここで現実世界も含めた世界の総数n+1のうち、自分はどの世界に入ったのか、さらに現実世界もまたn個ずつ存在するとすれば自分は2n個の異世界を転々とし続けているのでは、いや鏡写しの世界が反復増殖を続けているなら自分の移動する世界の総数は2n ∞なのではと、小さいアリスは疑い始めている。