みんなあじさい大好きらしく街じゅうぼんやり咲いて雨
雨が近いんじゃないかと思う 揃いも揃って起きている
心配しないで生まれておいでまだ見ぬあなたが大好きよ
※友人無事出産
王は威厳を示すため山頂に自分の像を建て、日ごと像の影は王の威容と共に国を覆う。ある日誰かが反対の山に巨大な鏡を置き、陽光は像の影を城まで反射した。鏡には毎日落書きされ、像の影に台詞やら天使の羽が付く。王は面白がり、巨大な鏡を作らせて政策や座右の銘を書き、毎日毎日国中に反射させた。
森のようです花壇を埋めて風に揺れてるチューリップ
帰ろう帰ろう仕事は終わり仕事で落ち込むのも終わり
怪我なく事故なくまた日が暮れて今日も一日偉かった
乙姫と人魚姫の将棋対決が今年も始まった。よく訓練された色とりどりのタツノオトシゴを駒に、一進一退の攻防が続く。終盤、敵陣に攻め込んだ乙姫側の飛車がついに王手をかけ、勝負有りと思われた時、人魚姫側の王将が出産を始め、大量の子(歩)が盤面を埋め尽くして形成逆転に見えたが、二歩で失格。
太陽派に敗れた月派は地下に潜り、宿敵が彼らを忘れ去り隆盛を極める中再び動き出した。頭上の炎天に怯えつつも彼らは隠し持った月型のシールを街の路地裏という路地裏、物陰という物陰に貼り回る。やがて陽が落ち、怨敵の力たる日光を存分に蓄えたシールはこの世ならぬ月光となり地上を燦然と満たす。
死んだ母親へ会いたさに少年の背はどんどん伸びた。村じゅうの大人も家々の屋根も追い越し、遂に雲の上へすぽんと頭が出た。そこは眩いばかり真っ青が広がるだけの世界で、下を向いても雲に阻まれ村は見えない。彼の涙は下界で雨となって植物を巨大に育て、親友のジャックは彼を目指して豆の木を登る。
山奥の叔父と狐が帰るのを見送る。猫じゃ猫じゃと仰言いますが…ほろ酔いの叔父が踊る。夜風は頬に快く、満月が綺麗だ。婚約者の失踪に周囲が沈む中、お前は優しいから良い人に出逢えるよと叔父は言う。私の本命は叔父だ、それも狐と幸せで居る叔父だ。オッチョコチョイのチョイ、宵闇に手指が翻った。