小噺帖

極小一次創作。よそで作った三題噺や都々逸の一時的集積所。
極小一次創作。よそで作った三題噺や都々逸の一時的集積所。
耳/窓際/綱渡り

耳/窓際/綱渡り

魔王を倒した勇者の治世が始まったが、庶民の歓迎は短かった。曰く隣人の騒音がひどい。曰く凸凹道が直されない。農民は重税を嘆き、商人は豪商の専横をぼやき、政府の不満処理業務は果しなく続く。倒された魔王の安堵顔の意味を元勇者が悟った時、辺境で魔王はうきうきとクレームの文案を練っている。