戒める/レコード/調整 祖父の日記は日々の雑感も俳句やスケッチもさらっと軽妙だ。が、次第に文も絵も別人のように仰々しく硬く変貌し、終り近く「見るな、見るな、見てはいけない」と殴り書きの後は憑物が落ちたように元の筆致だ。訊けば当時いた文芸愛好会全員が同じ症状で解散した日、巨大な烏が飛び去る幻を皆が見た由。