小噺帖

極小一次創作。よそで作った三題噺や都々逸の一時的集積所。
極小一次創作。よそで作った三題噺や都々逸の一時的集積所。
うたよみん 都々逸まとめ

うたよみん 都々逸まとめ

2018
地面のカナブン踏まずに避けて死にたい夜道をまだ歩く
ここから他にはどこへも行けず野花の写真が増えていく
覆って覆って覆った嘘がラナンキュラスの花になる
空の写真をさかさに置いて雲のみなもへ落ちてみる
胸の奥底ざわめく森をついぞ飼い慣らせずにいる
この頃何でも気に入らなくてきっと愚かになっている
生きるつもりはまだまだあるか? 穴の底から見える月
転んだ大の字姿のまんま空の青さを身に受ける
地獄三首 君は立ってる地獄の中に割れた大地が熱を吹く
〇〇〇〇 花は揺れてるこの世の果てにここと繋がる空は青
〇〇〇〇 歌が聞こえる今際の際にたゆたう血の海あたたかい
令和元年台風第19号 うねるサイレン呑む虎落笛空を巨大な龍がゆく
ほんとに食べたいのは何だっけトレーに冷えてくハンバーガー
死んでよかったねえおじいちゃん見なくて済んだね沈む家

2019
ヒトもやがては木になれるかな百万年後の新世界
ほんとに神様そう言ったのか戦火に焦げゆく世界地図
独りになりたい独りは嫌だほんとはおんなじ意味だった
下がってアガって下がって下がり上げ方分からず這っている
自分で自分に向けてる毒の回りが早いな? 早い 早い 早
いまだ人生死んではないな目線一ミリ上を向く
しょせん何者でもない僕だ澱も鎧も捨てろ 捨てろ 捨てろ
転職活動開始 そうか私(あなた)はもう行くんだな靴紐ゆっくり締め直す
〇〇〇〇〇〇 私無しでも潰れやしまいそうだやっぱり出てゆこう
鳥もそんなに自由じゃないねそっとオフするSNS
ビルも道路もみな呑まれゆけうねる緑が渦を巻く
そろっと後ろへ引っ込むようにぽつぽつ消してくアカウント
僕のアパート隣りはタヌキ下はイノシシ上はクマ

2020 コロナ禍
正月気分が体を抜けて便座へ落ちてく休み明け
雪の靴音かぶせるように雪が雪の音たてて降る
コロナ全国休校ニュース親が殺した子のニュース
人がそういうものではなくて彼女がそういう人なだけ
停滞ではない冬眠なのだ壁の向こうは春の風
無理と言うなとよく云うけれど僕はあんたがいなきゃ無理
たった一人の散歩の道は不要不急の花ざかり
マスク尻目にラーメン店へ並ぶ夢見る自粛中
雪が桜が病魔がふぶくレジャーシートはミモザの絵
その後の世界を知らずに去ったキミはほんとに幸せだ
ヒトの内部でウイルスたちも自粛している春嵐
「病気うつすといけないからさ」ほんとは怖くて辞退した
必要火急のあなたに会いに越える検問バリケード
ランディドノー ヒト無き街路のイヌネコハトのフンに加わるヤギのフン
昨日無かった野花が咲いたという天下の一大事
ばあちゃん外国知ってんだって「昔は『旅券』があってねえ……」
耐えて根付いていざ隙あらば伸びて這い出て空を向く
人類全員留守番させてコロナは世界を旅行中
散歩で作ってゆく「ここらではここにしかない花」の地図
カーテン通して朝陽は白くキミの居ない世界が始まってしまった
ミサイル 忘れないでね私のことも願い託した飛翔体
〇〇〇〇 この頃だーれも遊んでくれずノックみたいな飛翔体
産んで増やして地に満ちてみた神は褒めるかウイルスを
死別は他人事 その足元を軽々すくった生き別れ
ポストコロナと第二波そろい風も今夜は動かない
疲れましたよSNSに 吐き出す所もSNS
東京アラート巨大に赤く風も今夜は動かない
最小動作でゴキブリ叩くなるたけ怖がらせないよう
夜逃げみたいに荷物を詰めるステイホームの盆休み
いつまで怖がってりゃいいのかな道の向こうは花盛り
コロナに熱波が追い討ちかけてヒトじゃ世界は手に負えぬ
置かれた場所にはまだ飽き足らず花は遠くへ種飛ばす

2021
モノモノモノモノ溢れる部屋のどこかで私が死んでいく
震災十年 みんな誰かの誰かであった2011.3.11(ニイマルイチイチサンイチイチ)
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