イルカ/窓際/夜 夜、カーテンを閉め切り照明を落とし、旧い角灯に火を入れる。途端私の姿は消え、入れ替りに無数の影が壁に踊る。ヒトの影だけでない、ネコやトリ、巨大なサカナ、目に見えぬほどのムシも。彼岸に渡れぬ幽霊を角灯に招き、灯が落ちるまで躍らせてやる。その間私はどこでもない境目で雨音を聴いている。