小噺帖

極小一次創作。よそで作った三題噺や都々逸の一時的集積所。
極小一次創作。よそで作った三題噺や都々逸の一時的集積所。
三題噺 ※2個追加

三題噺 ※2個追加

首筋/キス/夜は短し
三重ガラスの防寒窓一面に白い夜が渦巻く。学校のホールは暖かく、背後のパーティはたけなわだ。地元の子は皆この後帰宅だが、私たちは同棟の寮に残る。それでも元首都の子は友達も多いが私の出身地の子は他にない。巨大災害でこの国の居住適地はここだけ、雪嵐の奥にその原因の巨獣が美しく闊歩する。

首筋/葉っぱ/はじめて
私達が首の皮一枚で生きているのは南北に長いこの国の最北端、この地の極寒のおかげだ。数十種に及ぶ巨獣のうち寒さに強いのはごく一部。辺境といわれたこの街に生存者が集まり、唯一の学校もそれなりの規模だ。吹雪が切れ、地元の子が一斉にバスに乗る。バスが下る先の街灯りが窓の遥か下にちらつく。

首筋/茶髪/トランス
南方の私の故郷で温泉が出て水脈が変わり、地底の巨獣が現れた。迷惑客に飛び乗られた一頭が暴れ出し、駆除が逆に巨獣の大侵出を招いて今に至る。巨獣と人を慣らし、徐々に巨獣を制御し共存を図るための人材育成が巨獣学科の主目的で、山中の寮の露天風呂は、真下の温泉につかる巨獣の頭と同じ高さだ。

(了)