小噺帖

小噺帖

極小一次創作。よそで作った三題噺や都々逸の一時的集積所。
極小一次創作。よそで作った三題噺や都々逸の一時的集積所。
文字/鳥/いたちごっこ

文字/鳥/いたちごっこ

王は威厳を示すため山頂に自分の像を建て、日ごと像の影は王の威容と共に国を覆う。ある日誰かが反対の山に巨大な鏡を置き、陽光は像の影を城まで反射した。鏡には毎日落書きされ、像の影に台詞やら天使の羽が付く。王は面白がり、巨大な鏡を作らせて政策や座右の銘を書き、毎日毎日国中に反射させた。
(都々逸)

(都々逸)

森のようです花壇を埋めて風に揺れてるチューリップ
帰ろう帰ろう仕事は終わり仕事で落ち込むのも終わり
怪我なく事故なくまた日が暮れて今日も一日偉かった
深海/チェス/腰痛

深海/チェス/腰痛

乙姫と人魚姫の将棋対決が今年も始まった。よく訓練された色とりどりのタツノオトシゴを駒に、一進一退の攻防が続く。終盤、敵陣に攻め込んだ乙姫側の飛車がついに王手をかけ、勝負有りと思われた時、人魚姫側の王将が出産を始め、大量の子(歩)が盤面を埋め尽くして形成逆転に見えたが、二歩で失格。
太陽/ポケット/夜は短し

太陽/ポケット/夜は短し

太陽派に敗れた月派は地下に潜り、宿敵が彼らを忘れ去り隆盛を極める中再び動き出した。頭上の炎天に怯えつつも彼らは隠し持った月型のシールを街の路地裏という路地裏、物陰という物陰に貼り回る。やがて陽が落ち、怨敵の力たる日光を存分に蓄えたシールはこの世ならぬ月光となり地上を燦然と満たす。
背伸び/青空/ひとりぼっち

背伸び/青空/ひとりぼっち

死んだ母親へ会いたさに少年の背はどんどん伸びた。村じゅうの大人も家々の屋根も追い越し、遂に雲の上へすぽんと頭が出た。そこは眩いばかり真っ青が広がるだけの世界で、下を向いても雲に阻まれ村は見えない。彼の涙は下界で雨となって植物を巨大に育て、親友のジャックは彼を目指して豆の木を登る。
後悔/桃/美

後悔/桃/美

山奥の叔父と狐が帰るのを見送る。猫じゃ猫じゃと仰言いますが…ほろ酔いの叔父が踊る。夜風は頬に快く、満月が綺麗だ。婚約者の失踪に周囲が沈む中、お前は優しいから良い人に出逢えるよと叔父は言う。私の本命は叔父だ、それも狐と幸せで居る叔父だ。オッチョコチョイのチョイ、宵闇に手指が翻った。
切ない/階段/醜悪

切ない/階段/醜悪

昔の部下が息を吹き返した。心を読み舌打ちする。女共め。全員潰そうと部下の顔面を掴む、その手の下で奴が笑った。こいつ、こんな貌が出来たか。だが遅く、流し込んだ能力は狐妻を通じ天ガ下の狐全てに分散されていた。総大将ハ狐ヲ襲フ可カラ不。掟を破った報いに狐達の能力がどっと流れ込んでくる。
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